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秘密の時間は私のもの

第33章 デート②

颯太の俺に対する態度は何も変わらない。


優しいままで。


嫌われてないのだと実感するから。


嫌われたいと望んで、嫌われたと思って落ち込んで


嫌われて無いことに喜んでいる。



喜んじゃ、ダメなのにな.....

本当、矛盾だらけ



自分の意思の弱さをまたも実感する。


でも、今、今日だけはと颯太の優しさをしかと受け止める。



「颯太」

「ん?なに?なんか欲しい?何でも言って」

「お前は、優しいな」



にこりと笑って、髪をくしゃりと撫でれば、きょとんとする颯太。


それからハッとして、口を開こうとするけど


どうせそんなことはない、だの


そうじゃないって今の話で思わなかったの、だの


全部否定が返ってくることを見越し


ガタリと椅子の音を立て、立つことで、阻止をする。



「うし。大分楽んなったし、行くか」

「え....だ、駄目だよ!まだ顔、青いし!」

「お、颯太。あれとかど?お前にとっちゃちょっと楽しくねぇだろうけど」



俺が指指したのは定番中の定番。


観覧車で。


1度見てから、俺に方に顔を戻した颯太。


その顔はやっぱり“駄目”と主張していたけど


俺はそれを押し切るように、颯太の手を取りそちらへ向かったのだった。

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