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秘密の時間は私のもの

第33章 デート②

くわっと目を開き、俺を見る颯太は興奮気味で。


お陰で若干乗り物が揺れる。



「そ、颯太、おち」

「なのに亞、全然責めるような素振り見せないし!!
なんなの?!優しすぎなの?!」



今、一気に話がずれた気がするし


正直、俺なんかより断然颯太の方が優しいと思う。



「だからつまり、何が言いたいかというと!」



若干揺れているところに、勢いよく椅子から立ち上がるものだから


乗り物が揺れる揺れる。


うお、っと思わず声に出し、バランスを取れば


颯太がハッとしたように、また、椅子に腰を下ろす。


そして、顔を下に向け、小さな小さな声で言葉を紡ぐ。



「......亞は僕のこと、怒っていいんだし....
1ヶ月のブランクがあった今、会話が続く気がしなかったんです....
でも、気まずい空気にはなりたくなくて....
その.......ごめんなさい
あと、乗り物揺らして、ごめんなさい」



颯太はそう謝るけど、怒る理由が見付からない。


個人的な葛藤の詳細は知らないが、俺が関わっていることは確か。


自分が関わっている事柄に、何故怒れるのか。


それに、後半に関しては同意しかない。


きつかったけど、正直喋る間がなかったのは有難かった。

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