テキストサイズ

秘密の時間は私のもの

第33章 デート②

俺は、いつ、颯太に、何を、見せたんだ?


一途でいたい、って....



「僕はね、そんな自分の都合に合わせて、見えた亞の気持ちを消そうとしたんだ」



俺の、気持ち.....?



ひゅっと喉で音が鳴ったのを感じた。


颯太の口が“俺の気持ち”の形になり、音になるその時。



「s」


ぱしっ


「んぐ」



俺は颯太の口を塞いだ。


なぜ、颯太が気付いている?


俺は必死に隠していた筈だ。


じゃあ、いつ、どこで。


もしかして、図書室のあの時。


でも、俺はそんな節を見せなかった



『亞....泣かないで.....』



まさか、あの時、颯太は....?


いろんな思案が俺の内を巡る。



ダメだ

そんなのあってはならない

だって、颯太は上野と幸せになるべきなんだ

颯太の優しさで俺の気持ちを生かしてはいけないんだ



俺の気持ちが颯太と上野の幸せの邪魔に



1つの事実により、テンパる俺の頬を温かいものが包む。


図書室の時も感じた、その温もりはもちろん颯太のもので。


優しい瞳が俺を捉えていた。


もう片方の手で颯太は俺の手を剥ぎ、そのまま語り出す。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ