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秘密の時間は私のもの

第34章 1ヶ月の出来事②

まるで



“分かってるから。溜めなくていいから。さっさと返事しろ”



そう急かされているようで。


こんなキュンともなんともない告白現場が、今までにあっただろうか。


否、ない。


だけど、好きな奴に好きと言われて断るのもおかしな話だ。



おかしな、話、なんだが....



ここではいと答えたところで、俺らがなれるのは恋人なんかじゃない。


“仮”恋人、といったところだろうか。


そんなものになったところで、何になるだろう。


ならば、ここでごめんなさい、と言った方が絶対良いに決まってる。


多分、それを立川は1番よく分かっているんだろう。


律儀に差し出された手は震えているし


さっきの告白の声だって....



“ごめんなさい。ごめんなさい......”

“貴方だけだと、言い張りたかったのに....”

“ごめんなさい。ごめんなさい......”

“でも....”



“好きなんです”



きっと、そんな意味が込められていた。


だから、しっかりしていたけど、震えていた。


大きな大きな罪悪感。


だけど、俺が好きだから


俺を一途に想いたいから、必死に振り絞ったそれを


なぜ、蔑ろに出来るのか。

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