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秘密の時間は私のもの

第35章 デート③

俺はちゃんと、笑えているだろうか。


颯太が心配するような顔を、していないだろうか。


ちゃんと


“親愛なる親友”を幸せに送り出してやる


そんな顔を、しているだろうか。



頼むよ。俺

してろよ

2人だけの舞台を無茶苦茶にしたんだ

せめてもの償い

そんなことくらい、余裕だろ?



必死に、必死に自分に言い聞かせる。



笑え。笑え。俺

笑え....



にこり、笑顔を作った時。



むにー



「いっ?!」



左右に引っ張られる俺の頬。


それは、結構な強さで目に涙が溜まる。



「ちょ、なに?!颯太、ちょ、痛いって!」



必死に訴え掛けるが、引っ張る力は弱まることを知らず。


むしろ強まっている気さえする。



「そう...っ....」



本当になんなんだ。


颯太の顔は真顔で、なんとも言えない威圧感を放っていた。


それに充てられ、止めてさえ言えない。


怖いし、意味分からんし、痛いしで


涙を堪えるのも限界になってきた。



もう出る....!



そう思った拍子、頬を引っ張る力が一気に弱まった。


チャンスと思った俺は、颯太から距離を取る。

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