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秘密の時間は私のもの

第35章 デート③

ひりひり痛む頬をさすりながら、颯太に行動の意味を問おうとするも


颯太の視線は下を向いていて。



「..........颯太?」

「......めだよ」

「え?」

「ダメだよ。笑っちゃ」



頬を痛め付けられたかと思えば、今度は感情の制限をしろという。


無茶言うな。



「お前、何言ってんだ
とりあえず、頬を引っ張ったことについて」

「痛かったんでしょ?」

「それはもちr」

「だったら泣かなきゃ」



上げられた颯太の顔は、納得がいかない、そんな感じだった。



「.....何なんだよ。お前はいじめっ子か」

「違う。違うよ
図書室のあの時だって....
亞は苦しいのに切ないのに泣かない
無理に怒ったり、笑ったりする」

「っ.....んなこと、ない」

「なくないよ。亞は僕に心配を掛けさせないようにしてる
僕の、幸せだけを願ってる。自分なんて差し置いて」



俺の知らぬ間に、全てを見透かしていた颯太。



「亞、僕はそんなこと、して欲しくないよ
そんな優しさ、僕は要らないよ」



一斉に降り掛かる颯太の“優しさ”。



「ねぇ、亞。僕、亞が苦しいの、嫌だよ」



あぁ、温かい。


すぐにでも体を預けたい程に。

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