秘密の時間は私のもの
第35章 デート③
って、いつもなら、そう思ってたのに....
今は異様にそれが腹立たしく感じる。
その温かさを鬱陶しく感じる。
「亞、お願いだから、自分だって大切にして」
黙れよ....
思わず口について言ってしまいそうになるそれを
ぐっと堪え、飲み込む。
何で俺は、颯太の優しさに不快感を感じているんだ?
颯太は、こんな俺に優しくしてくれてるんだぞ
むしろ感謝さえしなきゃいけないのに
俺っていう奴は、一体何様....
「僕は、亞にだって幸せになって欲しいから」
次いで出た、俺を案じる颯太の言葉。
ぷつん、と糸が切れる音がした。
「だから」
「......れよ...」
「え.....?」
「黙れよ.....」
「つぐ」
様子がおかしい俺を気遣い、伸ばされた手を
ぱしんと音が出る程、振り払う。
驚きを隠せない颯太を、俺は思い切り睨み付ける。
「綺麗事ばっか言ってんじゃねぇよ....」
何言おうとしてんだよ
止めろ。バカ
頭は冷静に俺を止めるのに
吐き出し始めた感情はもう、止まることを知らない。