秘密の時間は私のもの
第35章 デート③
「俺が苦しいのは嫌?俺に、幸せになって欲しい?」
「亞....」
「はは!!笑わせんなよ.....」
「俺のことを、選ぶ気さえない癖に!」
放った言葉。
1番言ってはいけなかったし、言うつもりもなかった。
だけど、我慢ならなかった。
颯太の中で、答えは決まっている癖に。
俺のことはどうせ振る癖に。
その癖に俺に優しくするなんて。
そんな優しさ、ただただ、残酷なだけだ。
頬に幾度も伝う、雫の感触。
俺は、確かに泣いていた。
「....亞.....」
「来るな!!!」
近付こうとする颯太に怒鳴り付ける。
情緒不安定も甚だしい。
「俺を.....苦しめるも幸せにするも、お前しか出来ねぇんだよ
分かってんだろ?なぁ?
だったら、分かってる筈だろ。俺が幸せになることはねぇって
なのに、そんな言葉もらってもなぁ....自分が惨めになるだけなんだよ....」
荒々しく、目元を拭うが、涙は一向に収まる気配がない。
今まで我慢してきた分、全てがやってきたようで。
だせぇし、きたねぇし、醜いしで
もういっそこのまま帰ってしまおうかと思った時。
どさっ.......
俺らの目の前に、倒れ込む男、1人。