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秘密の時間は私のもの

第36章 尾行

他人にされて、その光景はまだ百歩譲って耐えられるとしよう。


何故、そんな甘甘な雰囲気を俺が自ら作ってやらねばならん。


ここにいて、あの2人を黙って見守っているだけでも


意思は充分見せているつもりだし。


それに、バレたらどうするつもりなんだ。


俺は、断じて嫌、というように腕組みをし、その場から動かない態度を見せる。


まあ、踏ん張らずとも滝波の力では俺は動k



どんっ.....



思っていた矢先、ぶつかられたのは滝波らしく。


俺の背に、一気に力が伸し掛る。


余裕ぶってた俺は、いきなり来たそれに案の定体勢を崩す。



「っ」



もちろん押していた滝波も共に倒れる訳で。


2人して倒れる先には、藤塚達がいる。


自分らでバラすならまだしも、こんなアホなバれ方。


あってはならぬと一か八か。


滝波を自分の胸に収め、藤塚達に背を向ける。


ぐっと、足に力を入れ、踏み止まろうとするもやっぱり止まれなくて



どんっ!



藤塚に当たってしまった。



顔だけは死守!



決め込み、滝波の肩を抱き、そのまま歩き出す。


背にひしひしと睨みを感じながら、とりあえず滝波の安否を確認。


....したが、どうやら無用、どころか見なきゃよかったと後悔までしてしまった。


見えた滝波の顔。


“してやったり”、正にそんな感じだった。

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