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秘密の時間は私のもの

第37章 ハピエン厨ですから

颯太の肩に埋めていた顔を上げれば


ちゅっとリップ音を響かせ、俺の目元に暖かい感触が宿った。



「今日、よく泣くね。亞」



言われれば、気付く頬を流れる雫。


泣くだけならまだしも



その口付けは俺の涙を拭うため?

それとも、上野の存在が唇はダメだとお前を制したから?



そんなことを思う俺。


涙を流した事で、気持ちが弱っているのか。


普段以上に思考が女々しい。


正直、鳥肌ものだ。


しかし、口に出さなければこちらのもの。


知らぬ存ぜぬの颯太は、俺に優しく微笑みながら


あやす様に、頭を撫でてくれる。



あぁ、もういいわ。俺、満足

颯太、独り占めできてるし

上野に見せ付けられてるし、本番なくても別に



思うのはもちろん俺だけで。


突如、その温かさが俺の元を離れる。


奪いやがったのは見ずとも分かる。


上野だ。



「......あ?んだてめぇ。さっきまで反対派だったじゃねぇかよ」

「うるせぇ。泣きながら言われても迫力ねぇんだよ」

「あぁ?」



いきなりいきり立つ上野。


そこで違和感を覚える。


颯太が嫌がっていなければ、俺も悲しんでいない現状。


心の広い上野。


首を突っ込むような場面ではないのでは?

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