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秘密の時間は私のもの

第38章 秘密の時間は

私の好みはやっぱり、ワンコ受けであるからして


出会った当時の颯太くんが、どんぴしゃりだったのだ。


それが、まあ、今では....


欲が出ると人間、相当変わるものらしい。



「そういやお前、さっき俺が“気付いている”って言ったよな」

「はい」

「俺、何に気付いてんの」

「......はい?」



自分が気付いてる事を、人に聞く人を初めて見た。


天然なのか、狂ったのか、或いは.....



「俺、自覚ねぇんだけど」



本当に気付いていないか。


この場合、3個目に価する気がする。


と、なると何故藤塚氏は颯太くんに“さよなら”を告げたのか。


まあ、別に、気になるなら、聞けばいい。



「おーい。聞こえてるかー?」

「.....1つ、質問良いですか」



藤塚氏の顔が確実に歪んだ。


“質問を質問で返すな”


正にそれなのだろう。


しかし、私の性格を知っている藤塚氏は


問い詰めても無駄と判断したのか


どーぞと私に続きを促した。



「何で、颯太くんと付き合っていく道を
自ら絶ったんですか」

「......お前、一応傷心のそこ、聞くか?普通」

「自分で絶った癖に傷付いたんですか」

「あー、はいはい。そうですね
理由、理由か....」



顎に手を当て、どこか悩んでいる様子の藤塚氏。

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