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特別刑務所(仮)

第10章 風邪。

「ーち・・ん、るー・・・ゃん」
「あとちょっと」

呼び掛ける声に鬱陶しそうに手を払い寝返りを打つ。
しかし声の主はそんな俺の体を揺すりさらに声をかける。

「るーちゃん!」
「・・・んー。ん?」

目を少し開けると学校に行ったはずの瀬川が立っている。
寝ぼけた頭で考えるが状況を理解できない。

「瀬川?何で?学校・・・」
「るーちゃん・・・もう4時過ぎたよ・・・」

瀬川に言われ慌てて時計を確認する。
瀬川の言う通り時計の針は4時を回っていた。

「九条にご飯と薬忘れた・・・」
「九条さんなら大丈夫みたいだよ。自分でやったみたい。」
「え?」

少しずつ冷静になる。
自分に毛布がかけられていること、室内の暖房と空気清浄機がつけられていること。
どれも自分が寝る前には無かったことだと気がつく。

「俺、行かなきゃ!」
「るーちゃん、るーちゃん。和がね、九条さん熱も引いて顔色も良くなったしって!それにさっき寝たばっかなんだって。和にはるーちゃん寝てるし九条さんももう心配ないから帰るぞって言われたんだけどるーちゃん現状理解したら九条さんの所行くでしょ?それじゃあ、九条さんまた起きちゃうかなって!だから起こしてあげたのー」

よく、わかっていらっしゃる。

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