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特別刑務所(仮)

第18章 刑務。

九条家は祖父の代までこそ名家だった。
そう。祖父が社長職を退き、俺の父に会社を譲ったあの日から少しずつ歯車がずれ始めたんだ。


「元!元はいるか!?」

幼い頃から父に優しくされた記憶がない。
二つ上の姉三つ下の弟には異常なまでに甘やかして育てていたが俺にはその一欠片も愛情をかけてはくれなかった。
そんな父が朝も早くから俺の名を叫び屋敷中を歩き回るときは大抵殴られるときぐらい。
その日もそうだと思い、父の捜索の目から隠れるように屋敷を逃げ回った。

「元!今すぐに出てこい!!今出てくれば許してやる」

嘘だ。前にも同じように言ってその日から三日間地下室で躾と言うなの虐待を受けた。
逃げなきゃ・・・
逃げなきゃ・・・

走り回り逃げる。ただひとつ、俺を助けてくれる人のもとへ。
屋敷のなかでもっと広いその部屋にいる、俺を愛してくれるあの人は俺の祖父。優しい笑顔でいつも俺を守ってくれる大好きな人。

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