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特別刑務所(仮)

第18章 刑務。

それが終わったのは俺が意識を失ってから暫くの事だった。
目を覚ました俺がいたのは暗い地下の檻のなか。

「寒い・・・」
「元ちゃん?」

声のする方を見ると一人。

「お母様?」
「ごめんなさい。ごめんない。」

ただひたすら謝るこの人は俺の母。
父親に逆らうことは一切しない。ただ、俺に何かすることもない。

「お母様。俺は大丈夫です。お父様が見られる前にお戻りにならないとまた・・・」
「・・・そうね。本当にごめんなさい。こんなお母さんで・・・」

怖いんだよね?
俺はまだ耐えられる。大丈夫。
知ってるよ。母が父から暴力を受けてるの。
それが俺に変わっただけ。大丈夫。大丈夫・・・

「おい、何をしてる。」
「あ、あなた。いえ、その」
「くだらないことをしてないだろうな?早く上に行け」
「はい。」

うつむきながら父の横を通り上へ消えていく母の背を見つめる。

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