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特別刑務所(仮)

第18章 刑務。

「お前にいいことを教えてやる。お祖父様はもう長くない。そうなれば会社の権利全てが俺のものになる。今まではお祖父様の手前好きに出来なかったがな。これからはもっと全線に出るべきなんだよ。やり方が古い。それを変えてやるんだよ。」
「・・・・・・」
「お前には壮大すぎてわからないか。まー、いい。早くあいつが死ねさえすればすべて上手くいくんだよ。それなのになかなか死んでくれない。ほんとに腹立たしい。ただ俺の運はついている。お前のようなストレス発散の道具がいるんだからな。」

父は笑いながら消えていく。
それから一週間地下室に放置された。その間母がたまにパンと水を持ち俺のところへやって来た。
それからさらに三日後の夜祖父が亡くなった。

「これからは俺の時代だ。まずは社員を減らす。それから・・・」

祖父の死に悲しむ間もない程目まぐるしく日々は過ぎていった。
ただ、日々を増すごとに父の暴力が増えていった。
その理由はすぐにわかった。
父が切った社員の復讐。残った社員たちの裏切り。
そして、会社の倒産。絵に書いたようにそれは当たり前のように現実として突きつけられた。
家は担保として奪われ、父は多額の借金を残し蒸発。
母と姉、そして弟俺はぼろ小屋のような家での生活を強いられた。なにより毎日やって来る借金取りと嫌がらせの日々。
でも、俺は父からの解放に本当はこんな生活でも喜びを感じていた。

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