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特別刑務所(仮)

第8章 狩野。

それからの日々はなかなかにして楽しい生活だった。
彼の言う通りにしていれば失敗することなどなく、簡単に欲しいものが手に入った。
ただ、単調に過ぎるそれを面白くないと感じる自分もいた。恐らく今まであったばれるかもしれないと言う恐怖心がなくなりスリルを味会えなくなったからだろう。その事を話すと彼は予告状でも出して怪盗のように盗むのはどうだと提案してきた。
最初は警察もたいした対策をとらなかったが、回を増すごとに警備は強化されネットやテレビでは平成の怪盗現ると大々的に取り上げられた。

「さてと、今日で俺に返さなければならない金額は返済されるわけだ。つまり今夜を最後にさようならと言うことだ。お前ほどの腕ならもう俺がいなくても問題ないだろう。」

突然のことに驚きを隠せなかった。
ただ彼の性格上一度口に出すと曲げることはなかった。
今回も恐らく。
だからなのかその夜俺は盗むことを躊躇っていた。

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