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片思い

第4章 距離を縮めたい。

家に帰って自分の部屋にかけあがる。
ベッドに横になり、どうやったら好きになってもらえるかひたすら考えていた。

「思いつかないや…」

「富岡くんは、どんなこと考えてるの…?」

「あなたのすべてが知りたいの…」

枕に顔を埋めながら胸の苦しさに
たえていた。

私はそのまま寝てしまった…。


「ヤバィィィィ!!」

起きたのは6じ50分。
急いでシャワーをすまし髪を乾かした。
朝ごはんも食べずに家を飛び出した。

「あら? 零ー!体操着ー…」

はかなくもお母さんの声は私の耳には
届かなかった。


私は猛ダッシュ。ただいまの時刻8時。
あと、10分。

学校が見えはじめたとき私は驚いた。

「と、富岡くん!!!」

私の10メートル先に富岡くんがいる。
今日は太田くんがいない。

私の声は聞こえていないみたい。


少し目が悪い私。
富岡くんだけは一発でわかる。

だって、毎日見てたもんな…。

(よし、今日こそ私は話しかける。)

はや歩きで富岡くんとの距離を縮めていく。
私の心臓がうるさい。
緊張で呼吸も苦しくなってきた。

ドキドキドキドキ…

(こ、怖いよぉ…)

あと、2メートルくらい。
もう富岡くんとの距離は話せる距離だ。

手を胸の前に持ってきて強く握る。
(大丈夫。私ならできる。運命を変えたい。
いつまでも見てるだけなんていや!)

(私と富岡くんの距離を縮めたい。!)
私はさらに距離を縮めた。

「と、富岡くん おはよっ////」

(きっと今私顔真っ赤だな…。)
顔が熱いよぉ。
握った手がさらに震える。

富岡くんが振り向いた。

(うわわ! こんな近くで目が合っちゃった!!////)

「お、おはよ…」
富岡くんは驚いた様子で、呟くように小さな声で言った。

しばらくの沈黙…

(きゃあ! 私ったら見つめすぎた!)

「じゃ、じゃあ私先に行くね!!」


また、猛ダッシュ。
手の震えはおさまらない。

嬉しくて、顔がにやけちゃう。
でも、やっぱり不自然だったな…。
まぁ、いっか今日の私えらい!

なんて、思いながら猛ダッシュ…。

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