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メビウス~無限∞回路

第4章 囚われる闇

 不思議そうにねんど人形を見る幸一の眼差しから、そっと目を反らしてぎりぎりの腕を組んでいる。

「器用だね」
「まあな」
「ココは」
「教えない」

 まっくらな廊下。細い蝋燭の明かりだけの広さしか見せない。
 ここに話を出来る相手がいることで、幸一は落ち着きを取り戻しつつあった。

「出れる?」
「その手伝いをするために、ボクがいるんだ」

 目の前にはなにもない闇が広がっている。
 ねんど人形は、歩いてしか出口に辿りつかないと言った。

「ココから出るには、お前の帰りたいって気持ちだけだ」

 今すぐにでも帰りたい。そう幸一が言うと、ねんど人形は聞こえなかったように左右を見る。

「どっちへ進む?」

 右と左。
 同じぐらいに黒い闇が横たわっている。
 幸一はどうしたらいいかと言うが、「選べ」以上の言葉をねんど人形は言わなかった。

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