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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
「やっと来たな」

 団右衛門の周りの火の玉は、子蜘蛛を焼き払いながら揺らめく。焼かれた蜘蛛は嘉明が倒した時と違い、灰になって消えていた。

「大丈夫か、嘉明!」

 団右衛門は嘉明の元に駆け寄ると、八代を無視して嘉明の両肩を掴む。心配のあまり注意をおろそかにする団右衛門に、嘉明は初めてうろたえた。

「馬鹿者、後ろを見ろ!」

 八代は団右衛門を見るなり牙を剥き出しにして、殴りかかってくる。

「わっ、危ね!!」

 嘉明を抱き留めて飛び退くが、八代はますます顔を険しくした。

「憎き退魔師め……生きておったか! 儂が今ここで、葬り去ってくれる!」

「やめとけやめとけ、今悠久って部下がな、今日にいる優秀な退魔師を呼んできてくれてる最中なんだ。じきにやってきて、葬られるぞ」

 嘉明は団右衛門の腕から抜け出しながら、その言葉に驚き聞き返す。

「悠久が? どういう事だ」

「いや、実は少し前悠久を見つけてな。動けるなら清正のところに援軍を頼めって言ってやったんだ。あいつが鬼の手先じゃなきゃ、きっと援軍は来るはずって事さ」
 

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