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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
「お前のような鬼に毒されるなら、態度の大きい退魔師の方がましだ」

「果てしてそうかな? あやつが、嘉明を騙して抱いているとしても?」

 嘉明が構わず槍を突き出せば、八代はひらりと身をかわし、笑う。

「言葉は無用か。どの道嘉明の辿る道は一つだ。ひとまずその長くて大きな牙を、抜かせてもらうぞ」

 八代は嘉明の槍を奪おうと、前に踏み込む。大きな体躯は迫るだけで脅威である。嘉明は後ろに飛び退くと、振り下ろされる逞しい腕を槍で打つ。一度でも力勝負に持ち込まれたら、負けてしまうのは目に見えている。間合いを詰められる事だけは、なんとしても避けたかった。

 しかし、立ち回るにも次々復活する子蜘蛛が邪魔をする。糸に捕まっても、嘉明の負け。四方八方を気にしなければならない戦いは、思いのほか嘉明の精神を削る。

 八代の拳が大地にぶつかれば、大きな穴が空く。辺りにあちこち空いたそれも、嘉明の足を邪魔する。嘉明の額に汗が浮かび始めたその時、焦る思いを吹き飛ばす大声が飛んできた。

「よーしーあーきーらーっ!!」

 火の玉を周りに浮かばせながら走ってくるのは、この場で唯一真の浄化が出来る男、団右衛門。
 

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