
妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
だが蜘蛛が糸を吐き出すのは、嘉明が叫んですぐだった。嘉明はとっさに飛び出し、団右衛門を突き飛ばす。
「っ!!」
蜘蛛の糸は直撃こそ逃れるが、嘉明の左足首は糸に絡まり地面に縫いつけられてしまう。
「嘉明! 待ってろ、すぐに解いて――」
「させるかぁ!!」
八代はこれを機とばかりに、団右衛門に殴りかかろうと迫る。同時に大蜘蛛も団右衛門一人に狙いを定め、糸を解く間もなく、嘉明から引き離された。
「団っ、まずは蜘蛛を叩け!」
嘉明は動かない左足に苦労しながら立ち上がり、団右衛門に向かって叫ぶ。
「八代は私が引きつける、その間に憂いを立て!」
「けどあんた、その足……」
「八代、お前もそれでいいな。片足の私に劣る程脆弱ではあるまい」
団右衛門を無視して、嘉明は槍を突き出し八代に呼び掛ける。八代はその声に振り向くと、嘉明の方にずんずんと歩き出した。
「ったく、あの殿様はなんで前に出たがるかな……嘉明! すぐ加勢するから、待ってろよ!」
団右衛門は頭を掻くと、大蜘蛛に向き直る。嘉明が頑固なのは、初めて会った日に痛いほど分かっているのだ。一秒も早く加勢する事が、嘉明のためである。
