
妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
槍を構え待ち受ける嘉明の前に立つと、八代はまじまじと嘉明を眺める。身動きの取れない嘉明を侮り、牙を見せて笑った。
「勇ましいものだな、嘉明。さて、どうやって凌ぐつもりだ?」
童に対するような物言いに、嘉明は眉をひそめる。そして八代の目を狙い、槍を突き出した。
八代はあえて間合いの外に逃げず、身をそらし避けていく。そして身を屈め地面に手をつくと、地面に縫われた嘉明の左足に回し蹴りを食らわせた。
いくら攻撃の手段があろうと、動けない足だけは対策のしようがない。体勢を崩しよろめいたところを狙い飛び起きると、槍を奪い投げ捨てた。
八代はそのまま嘉明の首を掴み、地面に押し倒す。動く右足で蹴り上げようとするが、八代は片手でそれを受け止めて押さえ込んだ。
「ようやく捕まったな。すぐに愛してやりたいところだが、ひとまずは動かぬようにして待ってもらおうか」
八代は掴んだ足を撫でながら、嘉明の動きを奪うため唇を奪おうと迫る。抵抗しようと身をよじるが、鬼の力はやはり人間では敵わない。嘉明が八代の胸を押し返そうと手を当てた時、既に互いの吐息が感じられる程に近づいていた。
