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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
「ま……待てよ、嘉明!」

 団右衛門はすぐに嘉明を追いかけるが、八千代はその場に崩れ落ち、涙をこぼした。

「どうして……なんで嘉明様は、そこまでぼくなんかを庇ってくださるのですか……」

 すると悠久は、八千代の肩に手を置くと堪えきれず笑い声を漏らす。

「それが、清廉なる魂の性質よ。害悪は許さぬが、過失を必要以上には憎まない。人ではなく罪を見て、公平に判断を下す。あんな存在に出会えて、幸せだな」

「……ああ」

「ならばなぜ、大蛇と退魔師が戦っている隙に奴を殺さなんだ? 八千代があれを殺せば、嘉明は今頃儂達のものだったのに」

「簡単に言うな。一度で殺せなければ、もう儂の立場もないのだ。確実な気を窺っていたのに、大蛇が弱くて機を逃したんだ」

 八千代は悠久の手を振り払うと、先程までの涙などなかったかのように胡座を掻いた。粗雑で冷え切った様は、もはや皆の知る八千代とは別物である。

「これから、どうするつもりなんだ。退魔師には勝てない、策も破られる。これでは、ますますあの退魔師が調子に乗るだけだ」

「そうだな……敵わぬなら、敵うよう強くなるしかないな」
 

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