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妖魔滅伝・団右衛門!

第6章 妖魔滅伝・嘉明!

 
 悠久は簡単に言うが、八千代は厳しい表情を崩さない。刺さる疑いの目に、悠久はさらに笑いをこぼした。

「鬼が人間の魂を食らうのは、こんな時のためよ。しかし、力が跳ね上がれば流石に奴も気付くだろう。食えるのは、一度きりだ」

「……いっそ、嘉明様も食ってしまおうと考えているのでは? そのつもりなら、儂は許さんぞ」

「それはないな。儂もあの嘉明には興味があるのよ。わざわざ人に化け、話してみたいと思う程にな」

 ますます八千代は顔をしかめ、機嫌を悪くしていく。不愉快に曲がった唇を悠久は舌で舐め、耳を食みながら囁いた。

「力がぐんと上がる清廉な魂を、確保する。生贄に相応しき者を教えろ」

 口だけではなく、悠久の手も八千代の胸を弄る。苦い顔もやわやわと迫る熱情に、熱い吐息を漏らし始めた。

「ん……馬番に、一人それらしいのがいる。人と交わらず馬にしか話し掛けない、変わった男だ」

「ただの根暗と違うのか?」

「嘉明様は、奴を評価している。馬以外には目もくれないというのにな」

 悠久は八千代を床に倒し、足を左右に開かせる。器用に下帯を外すと、股に顔を埋めながら呟いた。
 

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