
妖魔滅伝・団右衛門!
第7章 さすらい団右衛門
団右衛門は木の子と走り回り、日が落ちるまで遊ぶ。三人の木の子は笑い声を上げ、疲れも見せずにはしゃいでいた。
「そら、捕まえた! どーだ、退魔師は強いだろ? そろそろ話を聞かせてくれよ」
「つかまっちゃったね」
「楽しかったね」
「ね」
木の子は頷くと、三人で手を取り合う。すると木の葉が彼らを包み、木の子達は大樹の木の葉のような深い緑の髪をたなびかせ、顔に火傷の跡がある一人の青年へと姿を変えた。
「我々に害を加えるつもりはないようですね。人の子よ、何を知りたいのです?」
「ようやく本体を見せてくれたか。実はさ、今一匹の鬼の足取りを追ってるんだよ。赤くてでかくて派手な面した鬼なんだが、そいつここで暴れただろ?」
団右衛門が訊ねると、青年の木の子は自らの肩を抱き寄せ、憂う。何も知らない者の反応ではなかった。
「ええ。ここに村を作っていた人間は、皆鬼に殺されてしまいました。人の時で言えば、二年程前ですね」
「山賊じゃなくて、鬼なんだよな」
悠久の話した村は実在した。二年前滅びたのも、嘘ではなかった。しかし大きな嘘が、悠久の話には存在していたのだ。
