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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
「……帰りたかったです。帰りたい、帰りたいよ……!」

 八千代はまた涙を零すが、決して嘉明の手を取ろうとはしない。嘉明もどうしていいか分からず唇を噛んでいると、八千代は涙を拭い、一人で泣き止んだ。

「――いいえ。ぼくに泣く資格なんてないんです。全てはぼくが弱いのが悪かったんです。両手を血に染めた時点で、ぼくに幸せになる資格なんかなくなったんですから」

「八千代、分からない事を言って私を困らせるな。主君の言う事が聞けないのか、共に帰るぞ」

 困り果てた嘉明が主従を盾に命じても、八千代は首を横に振る。

「聞けません。ぼくはもう、嘉明の家臣ではありません」

「私の家臣でないのなら、一体何者だと言うんだ」

「ぼくは鬼です。人を殺し、村を滅ぼし、魂を食らい我欲に走った、畜生以下の鬼です。報いを受けるのは、当然なんです」

「鬼……何を馬鹿な事を」

「だから、ぼくは行けません。嘉明様、ぼくは……嘉明様が、大好きでした」

「八千代!」

 まるで今生の別れを告げるような物言いに、嘉明は八千代の腕を掴み引き止めようと手を伸ばす。しかし掴もうとしたその瞬間、光が辺りを包み視界を奪った。
 

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