
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
気が付けば、そこは海ではなく、何も存在しない鬼の世界だった。嘉明の目に入るのは、しょんぼりとした表情の八代。そして頬には、慈しむように添えられた八代の手の感触があった。
「目が覚めたか……」
八代は大きな溜め息をつくと、横たわる嘉明を抱き締める。嘉明は陵辱の記憶を思い出し固まってしまうが、八代はそれ以上手を出す気配はなかった。
「このまま死んだらどうしようかと思った。死ななくてよかった」
「死ぬ……?」
指に力を込めてみれば、力は素直に伝わる。鬼の毒は、既に抜けていた。そしてその指は、そのまま柔らかいものを握った。
(手……? しかし、八代の手は)
強く抱き締める八代の手は、体と同じく大きい。嘉明が握ったものを確かめようと視線を向けると、それは自ら嘉明に飛び込んできた。
「ね! ねー!」
「――一二三!?」
嘉明は驚き、声を上げる。すると八代はすぐに身を離すと、一二三の小さな頭に手を乗せた。
「どうして……」
「ね、ね!」
「これは一人の妖魔が、魂を三つに分裂させたもの。三人纏めて殺さない限り、真に死ぬ事はないそうだ」
