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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
 もはや一刻の猶予もない。城やこの町のため、八千代のためにも、団右衛門は勝たねばならなかった。

「一二三、お前達は身を隠していろ。トラはいざという時のために、城の防衛に回ってくれ」

「一二三は一緒に行くよ!」

「一二三が行かないと、向こうの一二三がひどい事されて一二三を探しにくるよ」

「一二三は戻って、皆を守るの。それが一番」

 大人しく従うトラとは裏腹に、一二三達は団右衛門と手を繋ぎ鼻息荒く語る。

「まあ、確かにそりゃそうだろうが……」

「じゃ、行くよ!」

「案内するの!」

 一二三は説得など無駄と言わんばかりに、団右衛門の手を引き走り出す。団右衛門も仕方なく同行を認めると、最後の戦いに向けて走り始めた。

 鬼は団右衛門を待ち構えるかのように、異空間への道を開いていた。余裕の姿勢に苛立ちを覚えながらも、団右衛門と一二三は異空間へ、時空の裂傷に飛び込み進む。くぐり抜けた先には、これまでとは比べ物にならない邪悪な気を纏った鬼が立っていた。

 そしてそのすぐ後ろには、一糸纏わぬ姿で、手足を縛られたまま座り込む嘉明。団右衛門はその姿に、思わず声を荒げた。
 

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