テキストサイズ

妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 






 一二三が三人に分かれていた事は、団右衛門にとって最大の救いである。傷つき倒れたトラも、団右衛門の傷も癒やしの力を使えば治すのは容易い事だった。

 回復しない内に鬼の元まで乗り込み、返り討ちに合っては元も子もない。嘉明が消えた事に対する、城への対処もしなければならない。向こうとこちらの時の違いを考慮すれば、一度引いた方が結果的に有利となる。団右衛門は苦虫を噛み潰すような表情ではあったが、一度城まで戻る事にした。

 城では太助の変死と嘉明の不在に気付いた武士が、慌てふためいていた。団右衛門はそれを口八丁手八丁に誤魔化すと、太助を厚く葬るよう指示して、一晩回復に務めた。

 そして、次の日。嘉明と共に浚われた一二三を通じ、団右衛門に情報が入る。嘉明の体質により鬼が攻めあぐねている事、対策として一二三の合体を求めている事、そして鬼の居場所まで。

(体は……もう大丈夫だ。城の人間も、もうしばらく混乱はしないだろ。後はオレが、嘉明を取り戻すだけだ)

 嘉明の体質は、裏を返せば通常より鬼への変化が早く起こってしまうという証でもある。一二三を取られれば、嘉明は簡単に鬼になってしまうだろう。
 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ