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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
 団右衛門は清正の刀を抜き、足を踏み込む。だが刃が迫っても、八代は不敵な笑みを浮かべるばかりで避けようともしなかった。

「――っ!」

 刃は八代を袈裟切りにする。が、それは皮膚を薄く傷付けただけで、肉に達する事はなかった。

「おいおい……冗談じゃねぇぞ」

 術は効かない、刀も通らない、つまりそれは、攻撃手段がないという事である。団右衛門は飛び退き清正の刀を素早く鞘に収めると、自分の刀に持ち替えた。

「あれは清正に返さなきゃならないんでな。傷つける訳にはいかないんだよ」

「物の心配とは下らぬ! 貴様はここで死にゆく命、惜しみながら散るがいい!」

 八代は大きく腕を振り上げ、頭蓋骨を粉砕しようと叩きつける。今まで弱点であったはずの鈍重さは、少しも見当たらなかった。

「ちっ!」

 早くなっているだけでなく、八代の腕力も増していた。団右衛門が飛び退き避けた場所は、大きな穴が空き土が飛び散る。かすっただけでも、致命傷になりうる一撃だった。

 団右衛門は八代の振り下ろしを狙って反撃を試みる。が、自分の刀では皮膚にすら刃が通らなかった。
 

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