妖魔滅伝・団右衛門!
第10章 さよなら団右衛門
団右衛門が相槌を打つと、ぬりかべはさらに体を震わせ訴える。が、団右衛門はぬりかべの体を叩き怒鳴りつけた。
「ぬーって言われただけで、分かるか馬鹿野郎! 人間語喋れ人間語!」
「ぬー!?」
「ったく……でも、なんか理由があって邪魔してんのは分かった。にしてもこの喋り方、何かを思い出すような」
「思い出すのは、この私ではないですか?」
団右衛門が頭を掻きむしり、なんとかぬりかべと話せないかと考えていると、背後から声を掛けられる。振り向くとそこには、一二三が頬を膨らませ怒りの表情を浮かべて立っていた。
「この方は、私の悪戯仲間のぬりかべさんです。追いつくまで足止めしてくださいとお願いしたんですよ」
「……鬼は倒したんだから、もうオレとあんたは関係ないだろ。追いかけてくるな」
「そんな言い方、ひどいです団さん! 明さんは『お前が団の友ならば私の友である、いつまで城にいても構わない』って言ってくださったのに!」
「うるっせぇな、とにかくオレは一人になりてぇんだよ! 嘉明がそんなに好きなら城に帰れ!!」
「――その言葉、そっくりそのまま返しますよ、団さん」