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妖魔滅伝・団右衛門!

第10章 さよなら団右衛門

 
 団右衛門はさして気に留めず、社を去る嘉明の後をついて行く。名目上は嘉明の護衛ではあるが、鬼が消えた今、淡路は真の平和を取り戻している。猫又や木の子といった無害な妖魔は友としてそばにいるが、団右衛門が腕を振るうような邪な存在はどこにもいなかった。

「そういえばさ、今度水軍で九州まで行くんだよな? 水軍って何するんだ? なあオレも活躍出来るよな?」

 団右衛門は嘉明の肩を抱き、隣に並びながら歩く。嘉明はその手を邪魔そうにしながらも払わず、無愛想な顔で答えた。

「そうだな、その図体なら旗を持たせて船の先端にくくりつければ、よく目立つだろう」

「いや、戦わせろよ! オレは最強の退魔師兼歩小姓だぞ」

「雑兵程度の身分で満足するな、才があるというなら力を示してみろ。個人で妖魔と戦うのと、将として手勢を率いるのは別の話だ」

 嘉明はふと足を止めると、団右衛門を見上げる。浮かぶ微笑みに、団右衛門も釣られて頬を緩めた。

「期待してな! オレはすぐに、名実共にあんたの右腕になってやるよ」

 空は白ばみ、太陽が大地を照らす。光に照らされた道を、二人は確かに自分の足で歩んでいた。



おわり


 

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