
妖魔滅伝・団右衛門!
第2章 嘘つき団右衛門
「そりゃ、小姓ならともかく、人の上に立つ殿様が誰かに抱かれるなんて嫌かもしれないさ。でもさ、優しく触られて、大事に愛されりゃ、誰だって嬉しくなって感じるだろう?」
「それは……」
「抱かれりゃ感じる。これは道理だ。そこに愛がありゃ、感じない方がおかしい。オレは出来るだけあんたを傷つけないように優しくするからさ、安心してその身を預けてくれよ」
すると嘉明は掴んでいた団右衛門の手を離し、しかめていた顔を微笑みに変える。
「……そうだな、お前を雇ったのは私だ。その私が信じなくては、雇った意味がない。この身は預ける。だから、しっかりと期待に応えてくれ」
向けられる信頼と、澄み渡る笑み。嘘を吐いている罪悪感など、暴れる心臓が彼方に吹き飛ばしていた。
「――あんたのその笑みが見られるなら、いくらだって愛してやるよ」
団右衛門はたまらず嘉明に口付け、溢れる胸の充足をぶつける。それに応えようと、嘉明は団右衛門の首に腕を回し身を寄せた。
欲へ素直になった嘉明が良い反応を示すせいで、団右衛門は下帯が窮屈になり濡れた感触の不快感も覚える。
