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妖魔滅伝・団右衛門!

第2章 嘘つき団右衛門

 
 勢いのまま軽口を走らせる団右衛門だが、嘉明は流石に怯み、眉を寄せる。

「毎日二回もこんな事、体が保たん。いくらなんでも無理だ」

「じゃあ、朝は口で奉仕でいい。効果は少し落ちるが、口から飲んでも有効だ。オレのをしゃぶって飲むだけなら、負担も掛からないだろ」

「少しは言葉を選べ! だが……分かった、善処する。お前の家も、城下ではなく城内に変えよう」

 色々と考え事を巡らせているのだろう。嘉明は額に手を当て、眉間に皺を寄せたまま目を閉じる。

「団右衛門、八千代は無事だったのか? それに、私と共に寺へ向かった者達も」

「ああ、八千代は無事だぞ。ただ、その他の武士の行方が掴めない。邪魔をされないよう鬼に異空間へ飛ばされた所までは察知出来たんだが、そこに繋がる場所が見つからなくて」

「早く見つけないと、命が危うい。私に何か出来る事はないか」

「今あんたに出来るのは養生する事だけだ、分かったな。それに、殺されたんじゃなくて飛ばされただけなら、まだ希望はある。異空間ってのは、人間が過ごす次元より時間の流れが遅いんだ。こっちで三日経っても、向こうじゃ一日も経ってないはず。きっと救えるさ」
 

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