妖魔滅伝・団右衛門!
第4章 足軽退魔師団右衛門
鍔迫り合いになったその時、団右衛門は真正直に刃を受け止めた事を後悔した。押し込んでくる清正の腕力は、団右衛門の両腕を瞬く間に疲労させていく。一歩、二歩と後退し、壁際に追い詰められるのもすぐだった。
「ちっ……くしょ!」
団右衛門は清正の腹をめがけて膝蹴りするが、清正は身を引きそれを避けてしまう。が、その隙に団右衛門は壁際から抜け出し清正と距離を取った。
さほど時間が経った訳でもないのに、団右衛門の額は汗で濡れていた。額だけではない。体中が濡れて冷えていた。
(……やばい、こいつ強すぎる)
速さは、辛うじて団右衛門が上回っている。しかし力は圧倒的に清正が上であり、立ち回りにも隙はなかった。隙が見当たらないなら、速さが少しあるくらいで希望にはならない。疲労して落ちた瞬間、叩き潰されるのは目に見えていた。
団右衛門は懐から札を取り出し、さらに距離を取りながら投げる。だが清正は向かってくる札を一閃でなぎ払った。
「小賢しい攻撃は無駄だ。直接来い!」
札を切り捨てた刀もまた、厄介な代物である。どこで手に入れたのか、それは団右衛門の持つもの以上に強力な刀だった。