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妖魔滅伝・団右衛門!

第4章 足軽退魔師団右衛門

 
(罠を仕掛けても、よほど上手くやらないと潰されるな。たとえ仕掛けられても、弱い術式じゃ刀の魔力で無効化されちまう)

 戦い振りを見る限り、退魔師としての技術は団右衛門が勝っている。清正は刀一本のみで、術に頼る気配がないのだ。しかし、たとえ団右衛門が技術に勝っても、清正の圧倒的な一閃は全てを終わらせるのだから期待は出来ない。清正は技術が足りないのではない。技術を磨く必要がない程強いだけなのだ。

(一騎打ちでは、勝てない……こうなったら)

 団右衛門は札を四方八方にばらまき、指を鳴らす。すると札から雷が放たれ、轟音が辺りに響いた。

「こけおどしは効かんと言っている!」

 清正が振るう刀を、団右衛門はまた鍔で受け止め押し合いになる。今度こそ押し切ろうと迫る清正に、団右衛門は口角を上げた。

「威力はなくとも、音はどうだ? いくら人払いをしていても、これだけ音を立てれば人が来る。こんな現場を見られたら、あんたも無事じゃすまないぜ」

「……そうか、お前に嘉明を守る度量はないという事か。安心しろ、人が来る前に終わらせてやる!」
 

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