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A heart and wound

第6章 揺らぎ

和也Side

チャリン。

鍵同士がぶつかって、金属音が鳴る。

キーケースを揺らしながら、見るともなしに、ぼーっと眺めていた。

「二宮さん、鍵多くないですか⁇」

準備をしていたメイクさんに、不意に話しかけられた。

いきなりだったせいもあって、少し動揺してしまって。

和「…えー?こんくらい普通でしょ⁇」

少し、答えるのに間が空いてしまった。

「その間、なんか怪しいっすよ。…あ、もしかして彼女さんの合鍵とかあったりして⁇」

和「…いたらいいよねぇ。」

苦笑いを浮かべると、彼は、少しつまらなそうな顔をして、口を尖らせた。

「…なーんだ、違うんですかー。焦ってたからてっきり。」

和「まあ…俺のことはいいから。前言ってた彼女の話聞かせてよ。」

「あ、それ聞きます?…実は今ケンカしてて。…酷いんですよ、あいつ。」

彼女のことを愚痴りながらも、どこか嬉しそうなそいつを、羨ましく思った。

髪を軽くセットしてもらって、楽屋に戻ると、そこには大野さんの姿があった。

智「おはよ。ニノ。」

和「あ…大野さん…おはよ。」

昨日の夜、潤から大野さんの話も聞いていた。

翔さんのことを好きだと言って、潤にキスをしたことも。

…そして、明らかにいつもの大野さんじゃなかった、様子が変だった、ということも。

智「どしたの?…そんなとこで固まってないで、座ったら?」

和「…あ、ごめん。ぼーっとしてた。」

そう言って、笑って返した。

智「ニノがぼーっとしてるとか、珍しい〜」

和「うるさいよ。ぼーっとする時くらいあるってば。」

そう言いながら、大野さんの横のイスに腰を下ろした。

智「てかさーなんか、久しぶりじゃない?ニノと2人の撮影って。」

和「あー…言われてみればそうかも。」

智「ねー?おてやわらにお願いしまーす(笑)」

和「意味わかんねー(笑)」

智「ふふ…。じゃ、俺もメイク行ってくるねぇ〜」

そう言うと、大野さんは楽屋を出て行ってしまった。

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