テキストサイズ

A heart and wound

第6章 揺らぎ

雅紀Side

次に目が覚めたのは、お昼過ぎだった。

腕の中には、愛する恋人。

がっしりと俺に抱きついて、寝息を立てている。

俺は、そんな恋人をギュッと抱き締め、髪を撫でた。

雅「翔、ちゃん…」

翔ちゃんは、俺を頼ってもくれるし、甘えてもくれる。

だけど、どこかで、年上でいなきゃ、って思ってるところがある。

…きっと、これから先も大ちゃんに甘えるようには、俺には甘えてくれないだろう。

…しょうがないことなのかもしれないけれど、どうしても嫉妬してしまう。

俺が、せめて後1年、生まれるのが早かったら、翔ちゃんは、素直に甘えてくれたかな?

…でも、1年早く生まれてたとしたら、出会えてなかったのかもしれない。

だとしたら、どうするのが1番正しいんだろう。

前髪を書き上げ、おでこにそっとキスを落とすと、翔ちゃんが微笑んだ。

…翔ちゃんの寝顔も、甘えるときの上目遣いの表情も知ってるのは俺だけでいいのに。

なんて思う俺は、心が狭いんだろうか。

翔「…ま、さき⁇」

雅「あ、翔ちゃん…起こしちゃった?」

翔「んー、大丈夫…今何時ー⁇」

雅「もう、12時過ぎだよ。」

翔「え、まじで?もうそんな時間⁈」

雅「たまにはいいんじゃない?」

翔「でも、雅紀と行きたいとこあったんだよね…」

雅「…じゃあ、次、休みが合ったときは連れてってくれる?」

翔「うん!」

その瞬間、翔の腹が鳴った。

翔「あ…」

雅「お腹空くよねー?…いっぱい運動したし⁇」

翔「ば、ばか!!」

そういうと、顔を真っ赤にして、俺から離れて起き上がろうとした。

が、すぐにまたベッドに倒れて、

翔「ってぇ…」

顔を歪めて腰をさする翔ちゃん。

雅「だ、大丈夫⁇」

笑いを堪えて、肩を震わせながらそう尋ねると、キッと睨まれた。

雅「言っとくけど、誘ってきたのは昨日も今朝も翔ちゃんだからね。」

翔「…うっ…」

雅「んふ♡かわいかったよ、淫乱な翔ちゃん♪」

翔「そういうこというから、嫌なんだよ‼︎」

雅「え、嫌なの?俺のこと…」

翔「いや、だからそういうことじゃなくて、雅紀のことが嫌なんじゃなくて、ただ、なんか恥ずかしいっていうか…///」

必死になってそういう翔ちゃんがかわいくて、ついいじめたくなっちゃうのは、仕方ないよね?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ