テキストサイズ

A heart and wound

第6章 揺らぎ

基本的にはね?

だけどさぁ…

さっきから、放置しすぎじゃない?

俺のこと。

もう2時間くらいずーっとパソコンと睨めっこしちゃって。

仕事なのは分かってるけど。

…ちょっと妬いちゃうよ?

だって、俺のこと気にもしてくれないんだもん。

…後ろからそーっと近付いて様子を伺ってみる。

集中してるからか、全然気付かないし。

…こういう時邪魔するのは翔ちゃん嫌がるし、俺も集中してる時に邪魔はしたくない。

だけど、さみしいもんはさみしいんだよ!

翔「…雅紀?なにしてんの?」

いつの間にか、パソコンとの睨めっこを終えて、後ろを向いて、不思議そうな顔で俺を見つめている。

雅「や、な、なんでも?…てか、もういいの?」

翔「ん?少し休憩!…もうちょっと勉強しておきたくて。」

雅「そ、そか…」

…こういう、真面目で一生懸命な所が大好きだし、すごく尊敬する。

見習わなきゃって思う。

…だから、こういう時は我慢しなきゃね。

だって、そんな翔ちゃんの姿に惚れたんだし。

雅「コーヒー入れるね?」

…今は我慢するから、仕事が終わったら、めいいっぱい甘やかすから、俺も甘えさせて?

翔「あ…うん、ありがとう。」

キッチンにつくと、水を火にかけ、インスタントコーヒーの粉末を、色違いのカップに入れる。

このカップは、翔ちゃんが自分と同じものを見つけて、俺用に買ってきてくれたんだ。

…こんなことするタイプじゃないから、本当に驚いて。

ある日、翔ちゃんのマグカップの隣に並べられてて、なんでもないふうに、買っといた、なんて言って。

…そわそわしてたの、気付かないとでも思った⁇

だけど…めちゃくちゃ嬉しかったんだよ。

沸いたお湯を、そのカップに注いで、リビングへと戻った。

雅「翔ちゃん、出来たよ〜」

机に突っ伏す翔ちゃんに声をかけた。

翔「お、サンキュ。」

翔ちゃんは顔をあげると、ニコッと笑って俺の手からカップを受け取った。

カップに口をつけて、翔ちゃんがコーヒーを飲む様子をじーっと見つめていると、

…ふと、目があった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ