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A heart and wound

第6章 揺らぎ

翔「うわっ!こぼれる、こぼれる!!」

雅「寂しかったに決まってんじゃん!…なんなのもー!」

翔「…でも、全然寂しがって無かったから…」

雅「翔ちゃんが、集中し過ぎて気付かなかっただけで、だーいーぶ、チラ見してたんだからね!」

翔「え?あ、そうなの?」

あ、そうなの?って…本当に気付いてなかったのね?

そうやって、妬かせようとしてることを忘れて、集中しちゃうとこは、翔ちゃんらしいけど。

雅「…集中してるから邪魔しちゃダメだって思ってたし、何よりそんな翔ちゃんの姿が好きだから、我慢してたの!」

翔「あのさ…変なこと言っていい?」

この展開から、急になんなの⁈

なんて言わないけれど、少し不満に思った俺は、ぶっきらぼうに答えた。

雅「何?」

翔「…嬉しい。」

そんな言葉、予想もしてなかったから、

…珍しく、俺の頬が染まる番で。

ここぞとばかりに翔ちゃんに弄られた。

それから、また、一緒に風呂入って、洗いっこして。

翔ちゃんは、苦手な料理を手伝ってくれて。

…包丁使ってる時、プルプルしてて面白いって言ったら、さっきのことをまたいじられて。

ご飯食べて、一緒にテレビ見て。

…ベッドで、ただ、きつく抱き合って、眠った。

セックスするよりも、翔ちゃんを近くに感じた。

…心も、体も。

途方もない安心感から、すぐに俺の意識は夢の中へと誘われる。

遠のく意識の中で、こんな1日が、これからもずっと続いていくように、と、切に願った。

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