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A heart and wound

第2章 甘い、切ない。

翔Side

雅「しょーちゃん、お待たせ!」

翔「お、いい匂い♪」

雅紀が、キッチンから、出来たばかりの料理を運んできてくれた。

翔「…オムライスだ♪」

雅「ふふー♪好きでしょ⁇」

翔「めっちゃ好き!」

腹が減っていた俺は、口いっぱいにそれを頬張った。

雅「そんな慌てなくても、料理は逃げてかないよ?」

雅紀がくすくすと笑われた。

翔「らっへ、うまひんらもん。」

雅「わー全然なんて言ってんのかわかんない。」

苦笑しながら、向かい側に座り、雅紀もオムライスを食べ出した。

俺は、料理が得意じゃない。

だから、いつもご雅紀が作ってくれる…

…例え、仕事がどれだけ遅くなっても。

翔「…俺も料理覚えよっかなぁ…」

雅「どしたの?苦手じゃん、料理。」

翔「…笑わないでね?」

雅「うん、笑わないよ?何?翔ちゃん。」

翔「…雅紀が疲れてる日くらいは、作ろうかなって思って…」

雅紀は、その理由は予想してなかったらしく、少し驚いた顔をして、優しく笑った。

雅「翔ちゃん、俺はね?翔ちゃんが美味しそうに俺の作った飯を食べてくれるのが、超幸せなんだよ。」

翔「…でも、雅紀に重荷だって思われたくない。」

雅「だーかーらー!俺は、翔ちゃんが食べてくれるのが幸せなの!…気持ちは、今すぐ抱きたいくらいには嬉しいけどね♪」

翔「…もー!知らね。雅紀なんか。」

…俺は、こんなにも真剣なのに!!

なんでそうやってふざけるんだよ!

俺が頬をぷうっと膨らませて、そっぽを向くと、雅紀が隣の席に移動してきた。

雅「もーかわいいんだから♡ほら、こっち向いて?俺、翔ちゃんの幸せそうな顔みてたら、疲れ吹っ飛ぶから♪」

そう言って、俺のほっぺにキスをした。

翔「…俺、雅紀の方がズルいと思う。」

こんなことで機嫌が直っちゃう俺も俺だよなぁ…

顔が赤くなっていることが、自分でも分かってしまうくらい、今、顔が真っ赤だと思う。

照れ隠しで、悪態をつく、だけど、雅紀にはそんなこともきっとお見通しで。

雅「…ふふ。似たもの同士だね♪ほら、冷めないうちに食べて?」

雅紀は、俺の頭をくしゃっと撫でて、また向かいの席に戻り、何事もなかったかのようにまだ残っていたオムライスを食べ始めた。

俺は、密かに撫でられた頭を触った。

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