テキストサイズ

A heart and wound

第4章 嫉妬

智「翔ちゃん!ほら、あと少しだから。」

俺たちは、俺の住むマンションから少し離れた場所でタクシーを下りた。

なんでそんなことするのかって言うと、家を特定されることを防ぐため。

…別に疑うわけではないんだけど、念のため。

そこから、歩いて家へと向かう…ところなんだけど…

翔「さーとーしーく〜ん♡」

そう言って、その場にしゃがみ、頬を両手で包み、首を傾けてニコニコと笑う翔ちゃん。

…可愛すぎるんだけど。

俺を殺す気ですか⁇

いやいや、そんなことより。

この状態どうしよう。

…このままでいるわけにはいかないし。

智「…翔ちゃん、帰るよ、立って⁇」

翔「んふふ♡…やだ、抱っこ♡」

そう言って、手を広げた。

智「歩けるでしょ?」

翔「…智くん、俺のこと嫌いなのぉ⁇」

そう言って、翔ちゃんがそのつぶらな瞳をうるうるとさせ、見つめてきた。

…ズルくない、それ?

智「…嫌いなわけないでしょ⁇」

翔「じゃぁ、抱っこ‼︎」

智「…仕方ないなぁ。」

…ほんっっっとう小悪魔。

俺は、ヒョイっと翔ちゃんを持ち上げた。

翔ちゃんは、満足そうに微笑んで、俺の首に腕を巻きつけた。

…まだ酔いが覚めておらず、顔は蒸気しほんのり赤く、目を少し潤ませて、微笑むその姿は、今まで見た中で1番色っぽく、艶やかだった。

…俺の心臓は、壊れるんじゃないかってほど、ドクドクと鳴っている。

翔「智くん、しんぞーの音すごいよぉ?」

智「…翔ちゃんが重くて息切れしてるんです〜」

翔「…えーひどーい。」

智「はいはい。…着いたよ、こっからは歩いてね?」

マンションの前にたどり着き、翔ちゃんを下ろそうとした。

翔「…えぇ〜⁇」

そう言って、上目遣いで俺を見た。

…俺がそれに弱いの分かっててやってるでしょ?

智「…分かったよ、もう。」

翔「ふふふ♡」

…でも、こんな勝手な翔ちゃんでも、嫌じゃない。

むしろ可愛くて仕方がなくて。

酔って、小悪魔な本性を曝け出したした翔ちゃんは、色っぽくて、より一層人を惹きつける。

…俺のものにしたいと、一瞬でも考えてしまう。

…変なことは考えるな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ