テキストサイズ

A heart and wound

第4章 嫉妬

雅紀Side

電話の電子音だけが鳴り響き、相手が電話に応答することなく、留守番センターへと繋がってしまった。

雅「…おっかしいなぁ。帰ったら電話するって言ってたのに。」

電話の相手はもちろん翔ちゃんで。

…今日は大ちゃんと飲みに行くって言ってたから、夜遅くてもいいから、帰ったら電話して。

そう伝えていた。

俺男だし、大丈夫だよ、そう言って笑ってたけど…

そういうことじゃないんだよなぁ。

俺は、大ちゃんと2人きりってことに心配してるんだけど…

…翔ちゃん、自分のことになると本当鈍感だから。

大ちゃんは、自分から翔ちゃんに手を出すことはしないとは思う…俺に引け目を感じてるから。

それが普通の状態の時なら。

だけど…酔った翔ちゃんは、無意識に人を惑わす。

魅了する。

目をそらせなくなる。

…わがままなのに、それが心地いいとさえ感じさせてしまう。

加えて、普段とのギャップに、ハマって抜け出せなくなるんだ。

…酔ってないといいんだけど。

大ちゃんに電話してみようかな…⁇

連絡先から大野智を探して、電話をかけた。

しばらく電子音が響いた後、ガチャという音と共に、電話の向こう側から声が聞こえた。

智【…もしもし?】

雅「あ、大ちゃん⁇ごめん、こんな遅くに。」

智【大丈夫だけど…どうしたの?】

雅「まだ翔ちゃんと一緒⁇家帰ったら連絡するって言ってたのに、なんも連絡こなくて…もうこんな時間だしさ…」

智【…あ、翔ちゃん、その…酔いつぶれちゃって。今俺の家で…寝ちゃってる、んだけど…】

明らかに動揺している大ちゃんの声。

雅「…あ、そうなんだぁ。…ごめんね⁇迎えに行こうか⁇…困るでしょ?」

牽制も含めて、わざとそんな言い方をした。

智【…大丈夫だよ。明日どうせ一緒だし。】

…抑えてるんだろうけど、電話越しでも、大ちゃんの嫌悪感が伝わってきた。

…だけどさ、大ちゃん。

俺も、怒ってるよ?

雅「…そーだね。じゃあ、悪いんだけど、よろしくね⁇」

智【…うん。】

雅「…あ、そうそう。…翔ちゃんに、手、出してないよね⁇」

智【…な、に。そ、んなこと、するわけないじゃん。】

雅「…そう⁇…なら、いいんだけど⁇じゃあ、また明日!」

智【…う、ん。】

そう言って、電話を切った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ