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A heart and wound

第5章 混沌

潤Side

人に会う用事があるからと言われ、和と駐車場で別れ、1人楽屋に向かった。

…付き合い始めて数日が経った。

でも、お互いの家を行き来し、泊まることはあっても、あれ以来肌を合わせることは1度もなくて。

…一緒のベッドで寝ても、和は触れてすらこない。

…それに不満を感じる自分もいるけれど、逆にそれに安心している自分もいる。

…やっぱり、翔くんを好きなのにという罪悪感もあって。

きっと和が触れてこないのは、俺の中のその感情に気付いてのことだと思う。

…和は、どう思ってるんだろう?

そうこう考えているうちに、あっという間に楽屋前に着き、扉を開けた。

翔「…あっ…ん、ふっ、あ…」

…⁈

見た光景に驚いた俺は、開いた扉をすぐ閉めて、気づけばさっき歩いてきた廊下を、全速力で走っていた。

あまり人目につかない場所までついて、ようやく足をとめた。

…あんまりよく見えなかったけど、ソファで、相葉さんが誰かを押し倒してるのが見えた。

…見なくても分かる。

…あれは翔くんだ。

しかも…キス、してた。

それに…翔くんの、甘い、声。

それは、今まで聞いたことない声で。

…声を聞いただけなのに、ドキドキして、体が疼いた。

…だけど同時に、それは俺の手に入らないものだと、痛感させられて。

…胸が、痛い。

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