テキストサイズ

A heart and wound

第5章 混沌

潤「…やっぱ…」

ボソッと松潤が呟いた。

…やっぱ?

松潤の顔を見ると、切なそうな、愛しそうな顔で、真っ直ぐ翔ちゃんを見ていて。

翔ちゃんのこと、本当に好きなんだなぁって。

…だけどそれをそっとしまいこんで、なんでもない振りをする。

だから、ふとした時にそれが溢れ出しちゃうんじゃないかって、ビクビクしてる。

でも…それは俺もなんだ。

昨日の夜も、あと少しで…

限界、なのかも知れない。

ニノも、松潤も…俺も。

それに…実は、昨日気付いちゃったんだ。

…キス、した時。

俺、この人じゃなきゃダメなんだなぁって。

この人のこと、本気で好きなんだなぁって。

一方的なキスだったけど、あんなに幸せな気持ちになれるキス、初めてだったんだよ。

…いまも理性を保つのが精一杯で。

翔ちゃんの口にばかり目がいっちゃう。

怖いよ、自分が。

…相葉ちゃんと翔ちゃんが幸せならそれでいい、2人の幸せを願うから。







…そんなの、嘘だ。

自分の心の中の、本当の気持ちは?

本当は、朝、彼奴が訪ねて来た時、翔ちゃんに心配して欲しくて、わざと殴られた。

…あんなの、軽くかわせるもん。

目を合わせないようにしてるのも、翔ちゃんがそのことで、俺のこと気にしてくれたらいいのにって思ってる。

翔ちゃんへの気持ちを、言葉に行動に出来ない自分から逃げてたんだ。

…色んな人と関係を持つことで。

他の誰かを傷つけることで。

…翔ちゃんの幸せを願うフリをすることで。

そのくせ、翔ちゃんに気にして欲しくて、わざと気を引くような行動をして。

まるで小学生みたい…ズルい、俺。

…岡田っちは、きっとそんな俺に気付いてたんだなぁ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ