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A heart and wound

第5章 混沌

潤「…あの、翔くんには、言わないで…」

智「なんで⁇」

…なんで?

…本当だ、なんでだろう?

どうして、翔くんには言って欲しくないの、俺。

潤「…いや、別に言ってもいいんだけど…」

智「やっぱり、松潤も心のどこかで期待してる?…翔くんが、心変わりしてくれないかなーって。」

どくんっと、胸が鳴った。

潤「ど、ういう意味…?」

智「もしかしたら、自分のこと、好きになってくれるかもしれないって、そんなこと思ってるんじゃない?」

潤「…意味、わかんね…」

智「でも、付き合ってるの知られちゃったら、翔ちゃんだって、きっと2人のこと祝福してくれるよね。それが、嫌なんでしょ?…自分のこと、メンバー以上に思ってないって、実感しちゃうから。」

潤「やめろよ!!」

つい、声を荒げてしまった。

けれど、リーダーは少しも驚くことなく、真っ直ぐ俺を見つめている。

智「このままで、いいの?」

潤「…」

智「松潤はさ、このままの関係でいいの?」

潤「…わけわかんねーって、リーダー。俺は、ニノと付き合ってて、翔くんのことなんて、なにも…」

智「…好きなんでしょ、翔ちゃんのこと。見てたら、分かったよ。」

驚いて何も言えない俺に、リーダーは更に、驚くようなことを口にした。

智「…俺もねぇ、ずっーと翔ちゃんのこと、好きなんだよね。」

潤「…えっ…⁇」

智「驚いた?…ふふ。そうだよね。…俺ねぇ、もうこのままじゃ嫌なんだ。…いい人のフリするのは、もうやめようって決めたの。」

潤「…どう、するの?」

智「さぁ?…どうするんだろうね?」

そう言って、妖艶な笑みををうかべると、俺との距離を詰めてきて…唇を、重ねられた。

状況が読めず、固まる俺。

リーダーは唇を離すと、ふっ、と微笑んだ。

智「かわいいね、松潤。」

潤「…な、な、なんでっ…」

智「俺の決意の証、かな?…じゃ、俺行くね?」

そう言うと、さっさと荷物をまとめて、出て行ってしまった。

まだ、頭はパニック状態。

…リーダーも、翔くんのこと…

て、てか、キス…された。

…もー、何考えてんだろ、リーダー。

全然、読めねぇ…

楽屋に1人取り残された俺は、マネージャーが迎えにくるまで、時間が経つのも忘れて、頭を抱えて唸っていた。

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