テキストサイズ

Alice is where?

第1章 序章

私は自分が置かれている状況がよく理解できていなかった。
なのに、ウサ耳をつけた彼は―。いや、正確にいうと元はウサギだったのに人間に化けたのだ。
そんな彼が私に"恩返し"だといって連れって行ったのは人が簡単に入れてしまうほどの大きさの穴だった。

そして、彼は私を抱き上げ、穴の中に飛び込んだのだ。私はこの光景を森の図書館に置いてある一冊の本の物語と重ね合わせた―。
それは"不思議の国のアリス"という本に今の状況と全く、同じようなことが書いてあったことを思い出す。
そう今、私は少しだけアリスと同じようなことをやっていることへの嬉しさがあった。
もちろん、普通に落ちて行った場所がアリスと同じ場所だったなら今よりももっと―。



私は毎日通っていた場所がある。それは森の中にある図書館だ。
そこは晴れた日に行くと木漏れ日が木々の間から光のシャワーのように降り注ぎ、雨の日に行くと大きな木々がさらさらと音を立てて楽器のようになる。



私のお気に入りの場所。



ある日、私はいつも通り図書館へ向かっている途中、真っ白いウサギが木の根元で倒れているのを発見した。
私は彼(?)が起きるまでに食料を調達してきた。
どうして食料を調達してきたのかというと、何度も彼のお腹の虫が鳴ったからである。




それから数時間してから、彼が目を覚ました。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ