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Alice is where?

第1章 序章

最初は私を警戒していたけれども、ニンジンを目の前に持っていくと彼は眼を輝かせてニンジンを奪い取り、カリカリという音を立てながら食べた。

ニンジンをまるまる一本食べ終えたころを見計らって私は
「あなたはどうしてここにいるの?」
と訊いてみた。さすがに、言葉は発さないだろうと思っていたら、透き通るようなテノールボイスがウサギから発せられていた。
そして、ペラペラとどうしてここにいるのかや倒れた理由を話していた。
ウサギが喋ったことに驚いた上に、このウサギはが言っているの内容があまり理解できなかったがどうやら、自分の国に戻ろうと思って穴に飛び込んだらこの世界に辿りついたそうだ。そして、この世界から抜け出そうと思って穴を探している途中で力尽きたそうだ。
彼の話があまりに不可思議でだったため私は彼から肝心なことを聞き忘れていたことに気付いた。
「ねぇ…あなたの名前は何?」
「あぁ、俺はダニエルだ。というか、俺が名乗る前にお前が名乗るのが常識じゃないのか?」
と言われてしまったので、
「私はアリスだよ。よろしくね、ダニエル君。」
「よろしく」
と言ってから彼―、ダニエルは
「なぁ、アリス。ニンジンを貰ったお礼―。いや、命を救ってくれたお前に"恩返し"がしたいんだがいいか?」
「え。あぁ、うん。いいよ、そんなお礼なんて。当然のことをしただけだし。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。やっぱ、柄にもないことするんじゃなかったな。あぁ、メンドくせぇ。」
「だ、ダニエル君・・・?」
「あぁん?なんだよ。」
このウサギ、何かが違う!!
目に見えて面倒くさそうだ…!!なんてウサギ何だ!
「…ダニエル君。それはないんじゃないかな?せっかく、助けてあげたのにさぁ。あぁ、ニンジンの無駄遣いしちゃったよ~。」
「・・・・。(ひ、人が変わりやがった・・!)わ、分かった!さっきの言葉を信じろ!礼はちゃんとするって!!」
「なら、よし」
「…ふぅ」

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