僕と娘の話
第11章 会わせたくない男
「それじゃあ宮坂は明日は授業ないのかい?」
私に話しかけているのは、版画浮世絵専攻講師の前園先生
「はい。今、個展中らしくて先生が休みなんですよ。お陰で平日に休みです」
前園先生は浮世絵の技法を取り入れた作品なんかを主に創っていて
私の浮世絵の先生でもある
前園先生とのゆるい会話を交わしている時だった
コンコン!!ドアを荒々しくノックする音が聞こえ
入って来た男は
「里生。もうすぐ14時だろ迎えに来たぞ」
順くんだった
「おやおや。鵠沼先生こんにちは。宮坂、用事があるなら片付けは私がするから帰りさなさい」
「いえ!!用事なんかありません!!前園先生が気を使わないで下さい!!」
私は前園先生の持っていた木ぼりのバレンを受け取る
「前園先生お気遣いいただきありがとうございます」
順くんは、私の手からバレンを奪い机の上に置くと
そのまま私の手を掴み
教室を後にする