
齧りかけの林檎
第5章 ● 君の名前 ♀side
彼はポケットからスマホを取り出すと、
時間を確認し、顔をこちらに向けた。
「あの、お願いがあるんですけど」
お願い?
ヤラせろ、とか?
だって高校生だもんな、盛りだよなー
でもこの顔じゃモテるでしょ。
彼女の3人や、4人や、5人なんていて当たり前なんだろうな。
わたし相手にそんなことを言うわけがないじゃないか。
じゃあなんだ、お金貸せとか?
お小遣いよこせ的なかんじとかか?
なんて失礼すぎることを考えていると
「一度家に帰って着替えてきてもいいですか?
さすがに制服のままじゃ、
補導されちゃうかもしれないから」
・・・かわいいお願いをしてきた。
